香芝市にて、エンセレモニーがお手伝いさせていただいた今回の家族葬は、「その人らしさ」を何より大切にした、静かで温かなお見送りとなりました。
ご家族からぜひ形にしたいとご相談いただいたのは、故人様が生前に“毎日のように続けていた習慣”でした。特に、欠かさず飲んでおられた栄養ドリンクは、故人様にとって生きるエネルギーそのもの。仕事前にも、家で過ごす時間の合間にも、自然と手を伸ばされていたそうで、ご家族にとっても「お父さんといえばこれだよね」と思い出せる象徴のような存在でした。
納棺の際には、その栄養ドリンクをそっとお棺の中へお納めいただきました。蓋を閉じる前、ご家族は「今日も飲んでいてね」「これで胸を張って旅立ってね。本当に立派だよ」と願いを込めるように手を添えられ、長年の習慣をそのまま旅立ちに添えることができた瞬間でした。
また、いつも身に着けておられたお気に入りの帽子も、副葬品としてお納めしました。外出の際は必ずかぶっておられたというその帽子は、ご家族にとって“父らしさ”が最も表れる大切なアイテム。毎日の暮らしの中に自然に溶け込んだ帽子には、故人様がどのように季節を感じ、どのように日々を歩んできたのか、その時間がそのまま宿っているようでした。
さらに、ご家族が特に印象深かったと語られたのが、「株式投資」という故人様の大切な趣味です。時間を見つけては相場をチェックし、新聞の経済欄に目を通し、銘柄ごとの値動きをノートにまとめるのが日課だったとのこと。
今回は、そのノートに残された値動きの記録や、思い入れの深かった銘柄のチャートデータを印刷し、お供えとして丁寧に飾らせていただきました。数字や線で描かれるグラフの中には、故人様が日々感じておられた期待や喜び、時には悔しさまでもが静かに刻まれており、ご家族は「こうして見ると、本当に好きだったんだな」としみじみと語っておられました。
お別れの時間になると、ご家族はそれらの品々を一つひとつ確かめながら、大切にお棺へと収めていかれました。毎日の習慣であった栄養ドリンク、長く寄り添ってきた帽子、そして人生を豊かに彩った株式投資の記録。それらが故人様を包み込むように並び、まさに“生き方そのもの”を胸に旅立つ時間となりました。
お式全体を通して、ご家族の皆様が口にされたのは「その人らしく送ってあげたい」という想いでした。派手な演出を望むのではなく、特別な飾り付けを求めるのでもなく、これまで積み重ねてきた日々と、好きだったものたちをそのままに寄り添わせたい。その気持ちに私たちも深く寄り添いながら、ひとつひとつの所作を丁寧に進めさせていただきました。
香芝市での家族葬は、ご家族の想いと故人様の生き方を、無理なく・そのまま・自然体で形にできる場所であることを改めて感じさせてくれました。
エンセレモニーでは「その人らしいお別れ」を何より大切に、ご家族の声に耳を傾けながら、一つひとつのご葬儀を丁寧にお手伝いしてまいります。