遺言について解説

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2024.05.18

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遺言の目的や手順を解説

遺言によって自分の希望通りに財産を相続させる権利ができ、トラブルを防ぐことも可能です。

ただし遺言には法律に定められた決まりがあります。

遺言の目的

故人の意思で遺産分割する

故人が残した財産を「遺産」といいます。遺産は遺族らが相続をしますが、その分割には、①話し合いによる分割 ②法定相続による分割 ③「遺言」による分割の3つの方法があります。これら3つの方法の中では遺言による分割が優先されます。

では、もし遺言がなければ相続はどうなるのでしょうか。

法定相続人が話し合って遺産を分割し、それに対して誰も異議を唱えない場合には、その通りに相続することができます。

もし、相続人のうちの誰かが異議を唱え、話し合いによって解決しない場合には、法定相続のしくみに従うか、調停や審判などにゆだねなければなりません。

遺産トラブル防止に遺言は必要

たとえば相続人が「故人と同居している長男の嫁(長男はすでに他界している)」と「故人の兄弟姉妹(故人とは別居)」というケースでは、法定相続では同居している故人の長男の嫁は1円たりとも相続できません。故人の長男の嫁は法定相続人ではないのです。もしも故人が、「お嫁さんには世話になったから」という理由などで相続させたい場合には、遺言を行う以外に、遺産相続に故人の遺志を反映させる有効な手段はありません。

「自分には遺言を書くほど、たいした財産はないから」と考えるのではなく、財産が多いか少ないかにかかわらず、将来のトラブルを未然に防ぐためにも、遺言は必要な行為です。

 

遺言を書いた方がいいケース

①子どもがいないので残された妻に全財産を相続させたい

→もし、故人に親や兄弟姉妹がいる場合、法定相続では妻だけに全財産を相続させることはできないため。

②事業や農業などを継がせるために、子どものうちのひとりに財産を集中させたい

→農地や社屋などが遺産相続で分散してしまうと、家業の継続が困難になるようなケースに有効。

③特に世話になった子どもに財産を多く与えたい

→同居して介護をしてくれた二男には、長男よりも遺産を多く与えたいというようなケースに有効。

④相続権のない親族にも遺産を与えたい

→子どもの嫁などの相続権のない親族は、法定相続では遺産を相続できないため。

⑤内縁の妻や認知していない子どもがいる

→どちらにも法定相続権はないが、内縁の妻の子は、遺言で認知することができる

⑥特定の団体などに寄贈したい

→遺言があれば、慈善事業団体や公益事業などに寄贈できる

 

遺言の内容

遺言で指示できる主な事柄

遺言によって指示できる事柄は民法で定められています。

①遺産分割方法の指定

たとえば「土地と家屋は長男に、預貯金は二男に」、誰にどの遺産を相続させるのかを指定することができます。

②相続分の指定

「長男に遺産総額の3分の2、二男には3分の1を相続させる」というように遺産の総額に対して、誰がどのくらい取得するかを指定することができます。①のい「分割方法の指定」と組み合わせて、具体的に誰にどの遺産のどれくらいの割合を相続させるのかを指定することもできます。

③特別受益の持ち戻し免除

相続人のうちのある人(たとえば同居の長男)が、故人が生きているうちに家屋の贈与を受けていたり、生活費の面倒を見てもらっていた場合、これらを「特別受益」といいます。通常、特別受益分は相続時に、その人がすでに相続したものとして組み入れらます。これを「持ち戻し」といいます。この持ち戻しを、遺言によって免除することができます。

④遺贈

遺産を法定相続人以外の団体などに寄付することを「遺贈」といいます。慈善事業団体、公益法人、宗教法人などに寄付することで、社会福祉に貢献できるのです。もちろん、相続人たちが自分の世話をしてくれなかったから「腹いせ」に遺贈することもできます。

⑤負担付き遺贈

遺贈することと引き替えに、遺産を譲り受ける人に、「残された妻の生活の面倒を見るように」などと依頼することができます。

⑥その他

このほかに、相続人の廃除(相続させたくない人を相続人から排除する)、子どもの認知(生前に認知できなかった子どもを認知して相続させる)、後見人の指定、祭祀主催者の指定(お墓などを引き継ぐこと)、遺言執行者の指定と委託(遺言に書かれていることを実行させる)なども遺言することができます。

 

遺言書の種類

普通方式と特別方式

遺言は民法に定められた法的な行為で、普通方式に3種類、特別方式に4種類あります。

特別方式は臨終間際の「一般危急時遺言」を除けば、かなりまれなケースといえるので、ここでは普通方式の3種類について詳しく解説します。

            ~遺言の方式~

 

 

普通方式の3種類の特徴

普通方式には、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。

自筆証書遺言書

作成方法 本人が自筆で遺言内容を書いて(ワープロは不可)、日付、氏名を自署し、押印する。
メリット 証人が必要ないので、誰にも知れずに、自分だけでいつでも作成・変更ができる。費用がかからない。
デメリット 家庭裁判所の検認の手続きが必要。一般人が作成するので書式の不備などにより、トラブルや無効になる危険性がある。また、利害関係者に偽造、変造、破棄、隠匿される可能性がある。
注意点 本人が遺言に対して全責任を負うことになるため、保管場所に注意が必要。

公正証書遺言

作成方法 公正役場で2人以上の証人(未成年者や相続人以外)の立ち会いのもとに、遺言の内容を公証人の口述し、公証人が遺言書を作成。これを遺言者と証人に読み聞かせて、署名・押印させ、公証役場で20年間保管する。
メリット 書式の不備がなく、偽造や紛失の心配がない。家庭裁判所での検認の手続きが不要となる。
デメリット 証人が必要なので、秘密がもれる可能性がある。また、費用と手間がかかる。
注意点 遺言者が公証役場まで出向いていけない場合には、公証人を自宅や病院などに呼ぶこともできる。

秘密証書遺言

作成方法 遺言者の自筆、ワープロ、代理人による代筆で作成した遺言者が署名・押印の上、封印。これを公証人と2人以上の証人の前に提出して確認を受け、遺言書、証人、公証人が署名・押印してしかるべき人が保管する。
メリット 自筆やワープロで作成する場合は、公正証書遺言に比べて秘密性が高い。
デメリット 家庭裁判所での検認の手続きが必要。遺言内容の秘密は守られるが、遺言の存在自体を知られてしまう。
注意点 封印するときには、遺言に押印したものと同一の印章を使用する。

 

遺言書の扱い方

遺言書の保管方法

せっかく作成した遺言も、本人の死後に、確実に相続人の手に渡らなければ意味がありません。そのためには、保管場所に注意が必要です。

信頼できる人に預けたり、貸金庫を利用するなど、安全で確実な場所に保管しましょう。

遺言書の封印

遺言書は、封印されたものと封印されていないものでは、取り扱い方が異なります。封印されていない遺言は、開封され変造される危険性が高くなります。一方、封印された遺言書は、たとえ相続人全員がそろった場合でも開封できません。そのまま家庭裁判所に提出して「検認手続き」を受けなければならないのです。手続きを怠ると遺言が無効になるばかか、罰則もあります。

遺言書を発見したら

相続人が遺言を発見したら、遺言者の死亡を知った後、すみやかに遺言書を家庭裁判所に提出して「検認手続き」を受けなければなりません(公正証書遺言を除く)。封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人などの立ち会いの上、開封しなければなりません。

遺言の執行

遺言の内容によっては遺産を引き渡したり、登記したり、相続財産の目録を作成するなど、様々な実務がともないます。そのため、遺言の内容を確実に実行するために「遺言執行者」を選任するのが一般的です。遺族を選任することも可能ですが、無用な争いを防ぐ意味からも、利害関係のない第三者、なかでも行政書士や税理士などの専門家に依頼するのがよいでしょう。

遺言によって遺言執行者が指定されていないときや、指定されていてもその人が執行不可能な場合には、家庭裁判所に選任してもらうことができます。こうした場合、弁護士や税理士などが選任されるケースが多いようです。

遺言書の書き方

自筆証書遺言作成ルール

自筆遺言書には最低限の決まりがあり、これを守らないと法的には無効となってしまうので注意が必要です。

①全文が必ず自筆であること

筆記用具はボールペンでも万年筆でも筆でもかまいませんが、必ず自筆で書きます。ワープロやタイプライター、代筆は無効です。自筆証書遺言は自筆でなければなりません。署名だけが自筆も無効です。

どうしても自筆で書けない時には、公正証書遺言、あるいは秘密証書遺言にしなければなりません。

書式は、縦書きでも横書きでもかまいません。

また、用紙サイズに関しても特別な決まりはありません。

②日付と氏名が自筆で記入してあること

ペンネームなど、本名以外でも遺言者が特定できれば有効とされます。ひとり一通が原則で、夫婦連名、共同での遺言は無効です。日付がないものも無効です。

③押印されていること

遺言書への押印は、実印がベストですが、認印や拇印でも有効です。

④加筆訂正には注意

加筆訂正する必要のある場合には、その場所を指示し、訂正した旨を付記した上で署名・押印します。

 

以上、遺言についての解説でした。

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